エジプトを難民船さながらのボートで出国した瞬間から、僕は自分がアフリカの旅を甘く見ていたんじゃないかと疑問に思うになった。そしてその疑問はスーダンに入国して確信に変わる。バスが故障し、灼熱の砂漠で立ち往生したあげく、何日も野宿を強いられる。用意した水は日に日に少なくなっていく・・・。エチオピアでもバスには苦しめられた。1日に12時間も走るというのに、窓はあけられない、休憩は1度だけ・・・。ケニアではバスを見つけることができず、トラックに乗るしかなかったのだが、荷台は家畜に占領されていて、振り落とされないように鉄骨にしがみ付きながら走り過した夜もあった・・・。

「これはひとつ間違えば確実に死んでしまうな」

そんなふうに考えたことも何度かあった。旅の前半は本当に苦しいことばかりが続いた。
ヌビア砂漠(スーダン)




でも、たとえどんなに苦しかったとしても、それを誰かのせいにすることはできなかった。なぜなら

「苦しい場所を飛行機でやり過ごしたりせずに、アフリカ大陸を陸路で縦断する。」

 ― それは今度の旅の目的のひとつであったが、それを決めたのは僕自身だった。他人を責めようがない。結局のところ僕に許されるのは、ただ耐えることだけだったのだ。
マルサビット中心街(ケニア)


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