少なくとも僕はバルコルに立ってチャクポ・リを眺めながら、そう感じていた。
中国政府は「西部大開発」の名のもとに、チベットのインフラ整備を続けている。観光開発もその一環で、多くの観光客を呼び寄せるための試みがなされている。1996年以降は大規模なチベタンの反乱も起きていないことから、その試みは成功に繋がっているようだ。近年では外国人の観光も可能になり、ラサの観光名所では多くの外国人旅行者を見かけるようになった。
チベットの都ラサには観光名所が沢山あるが、その中でも「ポタラ宮」と「ノルブ・リンカ」が特に有名だ。ツアーにも組み込まれているし、多くの個人旅行者も見学する観光スポットだ。でも、僕は天空の城と呼ばれる「ポタラ宮」にも、ダライ・ラマの夏の離宮と呼ばれる「ノルブ・リンカ」にも入らなかった。「ノルブ・リンカ」はともかくとしても、「ポタラ宮」に関しては見学するのをずっと楽しみにしていて、実際に入口まで足も運んだのだが、チケットを買う前に宮殿の正面にかけられてある中国語の赤い大きな横断幕を見てしまったら、自分でも何故だかわからないけど急に気持ちがしぼんでしまい、結局そのまま立ち去ってしまった。ラサまで来ておきながら「ポタラ宮」を見学しないような外国人旅行者がどれだけいるのかわからないが、少なくとも僕はそのうちの一人だった。たぶん、僕はガッカリしていたのだと思う。
そういうわけでロクに観光もせずに、ただ街を歩くのが僕のラサでの日課になった。
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