「明日、ラサを出てシガツェに行くことに決めたよ。」
僕が宿のドミトリーでそう言うとY樹クンは、
「もう少し観光したいから、まだラサに居るよ。」
と言い、F原クンは
「ビザの期限が迫っているから、ここから直接ネパールに行く。」
と言った。
F原クンは仲間を集め、ラサからネパール国境までランドクルーザーをチャーターするという。Y樹クンもラサでの滞在が終わったら、そうするつもりのようだ。それが一般的な陸路でのネパールへの抜け方だというのは僕も知っていたが、どうしてもその方法を使いたくなかった。何故なら僕はラサでの滞在に好印象を持てなかったので、このままチベットを去るのではなく、できれば他のチベットの街も見てみたかったのだ。だから僕はとりあえずチベット第二の都市であるシガツェに行くことにしたのだ。
翌朝早起きした僕とリーは、Y樹クンとF原クンに(彼等はほとんど眠っていたが)挨拶を済ませて宿を出た。僕達はラサのバスターミナルで何人かの客引きと交渉し、値引きに応じてくれた男のシガツェ行きのバスに乗り込んだ。男はバスが満員になるまで客待ちを続け、「もう、これ以上は乗れない。」というところまで客を詰め込んだ後、シガツェへ向けて出発した。
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