エヴェレストへ行く事になったのは、もちろん僕等のグループに韓国人のリーがいたからだ。エヴェレストを観るというのは彼の旅の目的のひとつであり、そのために彼はパーミッションを取得したのだ。Y介クン、S織チャン、そして僕の3人にとって、エヴェレストに行く事は予定外だったが、パーミッションが1枚しかないからといって、リーのささやかな望みを多数決で放棄させるようなことはしなかった。
「きっと良い思い出になるよ。」
リーに言われると、不思議と本当にそうなるような気がした。
とはいえ、綿密な計画もなしにエヴェレストへ行こうとしたがために、僕等は少々痛い目に遭うことになった。ラツェのときと同様、シェーカルという街には公共バスは一切走っていなかったからだ。もっとも、仮に走っていたとしても「エヴェレスト行き」なんて路線は有り得なかっただろうけど。
そういうわけで僕等はラツェに続いて再びヒッチハイクにチャレンジすることにした。でも、ヒッチハイクといっても今回は少し事情が違った。何故なら普通ヒッチハイクといえば、「行き先が同じクルマに同乗させてもらう」ことだと思うのだけど、「エヴェレストへ行く」なんていうクルマが簡単に見つかるとは到底思えなかった。だから今回僕達は道路に立ってクルマを待つのではなく、自ら街を歩いてクルマを探し、その持ち主に「お金を払うのでエヴェレストまで運んでもらえませんか?」と頼んでみることにしたのだ。
シェーカルはラツェよりも更に小さな街だったので、クルマを探すのは難しい作業ではない。問題は街が小さい分だけ、クルマの数も少ないということだ。僕等は数時間かけて何台かのクルマを探し出し、その持ち主と交渉を持った。が、当然のことながら、それは簡単な仕事ではなかった。無理もないことだ。見ず知らずの外国人にイキナリ声をかけられて、誰が「わかりました。エヴェレストまで一緒に行きましょう。」なんて答えるだろう?
だから僕等がやっとの思いで、「ひとり往復200元払うなら、エヴェレストへ連れてやってもいいぜ。」と、言うトラックの持ち主に出会ったとき、僕は本当に嬉しかったのだ。少なくともそのときは・・・。
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