そもそもの始まりは、リーの一言だった。
「スカイ・ヒューネラル(Sky Funeral)を見に行かないか?」
「Sky Funeral」という耳慣れない英単語が『鳥葬』を意味する言葉だということを、普段頭の中で英語を日本語に訳すよりもかなり余計に時間をかけて僕達が思い出した後、リーは続けて言った。
「明日の朝にディクンティ寺で鳥葬があるっていうんだよ。滅多に見れるモノじゃない。」
今の時代、チベット旅行というのは決して難しいことじゃない。その気になれば日本から飛行機を乗り継いでラサに来てポタラ宮を見学することだって、お金をかければ3日で出来る。でも人間の遺体をハゲタカに喰わせるというチベットの鳥葬は、確かにリーの言うとうり、滅多に見れるモノじゃない。当然のことながら、人間が死なないと葬式はできない。ポタラ宮を見学するのとは違うのだ。少し考えた後、僕達はリーの申し出を受けることにした。
|